刺繍は染めたくないんだけど…

「刺繍は染めたくないんだけど…」というお問い合わせをよくいただきます。
確かに、刺繍が染まって目立たなくなると魅力が半減してしまうことはあります。
特に、ブランドのロゴマークなど。

ですが、当店では刺繍部分だけ染まらないような処置をすることはできません。
丸染めといって全体を染めるやり方で染めているためです。

「じゃあ、刺繍は全部染まってしまう?」

安心してください。
染まらない場合もありますよ。

染まらない場合というのは、本体と刺繍部分の素材が異なる場合です。
(詳しく言うと本体を染める染料と刺繍部分が染まる染料が異なる場合)
つまり、刺繍が染まる染まらないは刺繍糸の種類にかかっているのです。

本体が綿素材の場合は、当たり前ですが、綿素材用の染料で染めます。
(素材により使う染料や染め方は異なります)
刺繍糸がこの綿素材用の染料で染まる種類の場合は染まります。
逆に、綿素材用の染料で染まらない種類の場合は染まりません。

具体的な例を出しますと、本体が綿100%の服があったとします。
当然、綿用の染料で染めます。

刺繍糸が綿やレーヨンだった場合→染まります。
刺繍糸がポリエステルやアクリルだった場合→染まりません。

<染まった例>

img_刺繍

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<染まらなかった例>

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刺繍糸の素材については、稀にタグに書かれている場合もありますが、ほとんどの場合わかりません。

ですので、染まるか染まらないかは染め上がるまで分からないのです。
近所の糸屋さんのご主人も、見ただけでは分からないとのこと。
「燃やせば分かる」といっても、燃やしちゃ元も子もないので…。

たとえ、染まってしまっても、刺繍がなくなるわけではないので、近づけば分かります。
せっかく染め替えしたのですから、今までとは違った雰囲気を楽しんでみてはいかがでしょうか。