白い染料ってあるの?

ときどき、「白く染めることはできないんですか?」と聞かれることがあります。
残念ながら、色付きの生地を白く染める染料はありません。
ペンキなどの顔料であれば上から白の顔料を重ねれば白くなりますが、染色は水彩絵の具のようなもので、色が重なっていくためです。

色付きの生地を白くしたい場合は、脱色をします。
ですが、元色が濃い場合、脱色をしても真っ白にはならない場合がほとんどです。
クリーム色~薄いオレンジ色が残ることが多いです。

脱色後の色

ですので、染め替えてもごく薄い色や、にごりのない鮮やかな色にはできません。
(元色が薄い場合は真っ白になることも多いですが、元の染料や染色方法によって色の抜け方も違ってきますので、実際にやってみないと分かりません。)

また、脱色→染色をすると生地にも負担がかかります。
キュプラの裏地や、着用期間が長く、生地が弱っている場合に、裂けたり破れることもあります。

生地以外にもボタンやファスナーなどの金属部分にも影響がありますので、取り外しの可能なものは取り外してからの作業となります。
上記のようなリスクや、脱色をしても必ず綺麗に色が抜けるというわけではないので、あまりおすすめしない方法ですが、どうしても濃くなるのは嫌だ、という場合にはご相談ください。

では、実例のご紹介と参りましょう。
こちらは、色あせた黒を脱色し、グレーに染め直した事例です。

bleach_dye bleach_dye2

脱色によって、染め替え色の幅も広がりますね。
ちなみに、脱色の受付が可能な素材は綿麻のみとなります。

脱色が可能かどうかは、染め替え品の状態を見させていただいてからの判断となりますので、まずはご相談ください。

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